楽天投信コラム

あなた次第で、とても価値のある話か、身もフタもないつまらない話かが決まります

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくご愛読のほど、お願いいたします。

さて、実はこの原稿は年明け前に書いているので、年末年始の新聞、雑誌の経済欄がどんな相場予想をしているか分かりませんが、さぞかしいろいろな意見が飛び回っていることでしょう。何しろ、ドタバタを経ての年末年始です。昨年最後の2か月間だけを見ても、11月は10月末の日銀によるサプライズ追加金融緩和等を背景に、市場参加者・投資家は強気ムード。ところが、12月に入ると、大幅な原油安に端を発したロシア経済等に関する懸念、そしてそれらの世界経済全体への波及懸念等により、各国株式は大幅に下落しました。

今回のお話は上述のうち後者、大幅な原油安についてです。

グラフ:原油価格長期推移
1993年12月末~2014年12月12日、週次データ
代表的指標として、NYMEX上場軽質スイート原油先物第一限月の価格推移を使用
Bloombergのデータをもとに楽天投信投資顧問にて作成

グラフは原油先物価格の長期的な推移です。90年代は長らく1バレル(約159リットル)当たり20ドルを挟む推移でしたが、2000年代に大幅上昇、一時は140ドル以上にまでなりました。リーマンショックに伴い大幅下落しましたが、かつてのような値段にまでは下がらず、その後経済が紆余曲折ありながらも回復する中、再び大きく上昇する展開となっていました。

そこで話題となったのが「シェール革命」です。これまで掘削・抽出が困難だった油田、ガス田にも活用できる技術で、90年代から注目されていたようですが、一般社会にもその名が知れ渡り、「革命」とまで呼ばれたのは、原油価格が高止まりする中、従来のエネルギー供給構造を抜本的に変えるポテンシャルを持っていたからでしょう。

さて、これを背景に、お話はテーマ型投資信託に移ります。2013年から2014年は、「エネルギー」「シェール」といった単語をファンド名に含む投資信託の設定が相次ぎました。

では2013年から2014年にかけて、関連株式と分散された株式、それぞれの指数を見てみましょう。

グラフ:シェール関連企業株価指数
12012年12月31日~2014年12月16日、日次データ
シェール関連企業株価指数:ソラクティブ・シェールガス・トータルリターン・インデックス(米ドル換算)
大型株分散指数:S&P500指数(配当込)、米ドルベース
それぞれ2012年12月31日を100として指数化
Bloombergのデータをもとに楽天投信投資顧問にて作成

シェール関連に絞ったものは分散されたものにくらべ、値動きが大きくなっています。特に2014年前半はシェール関連テーマが持てはやされ大きく上昇、その後夏から大幅下落となりました。シェール技術による生産が急ピッチで増加した一方で、原油需要が鈍化した結果供給過剰となり、前出のグラフの右端にあるように原油は大幅に下落、関連企業の財務悪化懸念が噴出したのです。

これからさらに関連企業の経営状況が悪化しまだまだ株価が下がっていくのか、それとも、原油価格も関連企業の株価も反転するか・・・。それが確実に分かるぐらいだったら、シェール関連の投資信託設定の時点で、供給過多による原油価格下落や関連企業経営悪化も予測できたはずです。それができなかったということは、今後に関する予測も当てにはなりません。

これが新年早々の「身もフタもない話」です。今年は何が上がるか、相場を考えるのは私も大好きです。しかし話題となり紹介されている「今年のテーマ」に漫然と投資すると、まずろくなことになりません。

新年だからこそ、このコラムで何度も繰り返していることをまた懲りずに述べます。

投資の成功のためにはハンパが一番良くない。以下の対照的な2つの方法のどちらか。すなわち、

自分の取引手法を確立し、投資するタイミング、その後の利食いや損切りの方針等を決めた上で厳格に実行する

もしくは、

長期的には収益が得られると自分が信じられるものを選び、分散投資。そして投資したならば徹底的に持ち続ける

これをシェール関連のようなテーマ型投資でどうすべきだったかに当てはめてみましょう。

急上昇中のテーマに絞っているのだから、値動きは激しい。どうなったら利食いや損切を行うかの方針等を事前に決めて投資し、それを冷徹に実行する

もしくは、

エネルギー問題自体は人類の文明にとって喫緊かつ永遠の課題。シェール関連が有効な投資テーマだと信じるのならば、上がろうが下がろうが徹底的に持ち続ける。ただし、ポートフォリオの一部のみとし、人気化していて人が勧めるような時はむしろ見送り、下げた時に投資するぐらいの長期戦で行う

といったことになります。

ということで、「今年は○○が上がるぞ!」というウケのいい話はせず、年末に動きが激しかったものを例にとり、年初限定ではなくいつでも大事なお話でした。本年もよろしくお願いいたします。

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2015.1.11
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