楽天投信コラム

昨年は何が儲かった?そして今年は何が儲かる?

このコラムが配信される頃には、2月に入りもう新年気分も抜けたころかと思いますが、新年明けの株式相場は、国内外ともジェットコースターのような上下が繰り返される状況でした。

さて、毎年恒例で、マネー雑誌等の新年号では「今年はこれが儲かる!」といった見出しのものも目に付きましたがみなさんはどれくらいご覧になりましたでしょうか。

ちょっとした検証をしてみましょう。各国の株式指数を使って、「昨年は何が儲かったか」のランキングをグローバルに見てみます。世界各国の代表的な株価指数(103種類)の指数値を円換算したデータを使用し、2013年12月31日から2014年12月31日の1年間のリターンをランキングしました。

リターンの良かったベスト10がこちらです。

グラフ:リターンベスト10
出所:Bloomberg

そして下落したワースト10がこちら。

グラフ:リターンワースト10
出所:Bloomberg

ベスト10もワースト10も新興国が大半ですが、すでに個人向け投資信託の投資先として馴染の深い国も含まれており、これらの国々の株式を投資信託を通して保有している方も多いのではないしょうか。

さて、これらの国々に関して、一昨年、もしくは昨年当初くらいまで、どんな見通しがなされていたか思い返していただきたいと思います。

例えば、上昇率1位の中国について。中国の高成長に陰りが見え始めたという議論は、一昨年頃から活発です。そして、「理財商品」と呼ばれるリスクの高い高利回り商品が、その投資先企業の債務不履行等により、投資家に資金を返せなくなる事例も出始め、残高の大きい理財商品の満期が近くなる度に世界中の金融市場が緊張するような局面もありました。しかし結局昨年を通してみると、なんと上海総合指数はトップの上昇率となったのです。中国の高成長の陰りや、それに伴う世界経済への悪影響に関しては、現在さらに議論が活発化していますが、とりあえず昨年の投資成果に係る結果論としては、当該指数に連動するような投資商品を保有していれば非常に大きなリターンを得られていたこととなります。

そして下落率1位のロシア。ロシアは1998年の通貨危機後に、原油価格の上昇を主な背景に、急速に経済が回復しました。2003年以降は5年連続で6%を超える高い成長率を達成するなど拡大を続け、世界有数の経済規模を持つまでに躍進しました。一般社会の話題としても、ロシア人の富豪がイギリスのサッカーチームのオーナーとして名を連ねる等、その富は近年急速に存在感を増していました。また国際政治の場でも、プーチン大統領の影響力が増し、影響力が薄れ始めたと指摘される米国のオバマ大統領と対比されるような場面が多々ありました。しかしながら、昨年はウクライナ情勢に関し西側諸国との緊張が始まり、経済制裁により孤立を深め、それを受けて株価や通貨ルーブルも大きく下落したのです。そしてさらに、最近数カ月においては、原油価格の大幅下落により、産油国であるロシア経済はさらに厳しい状況に追い込まれています。

例としてベストとワーストそれぞれ1位に関してのみ挙げましたが、上にあげた多くの国の経済や株価見通しに関して、昨年の今頃に正しく予想できていた人はどれだけいたでしょうか。むしろ正反対のことが言われている事例が多々ありました。

ということで、「今年は何が儲かるか」という予想についての記事は、参考程度にとどめ、「昨年は何が儲かったか」という事実を確認することで、しっかりと長期分散投資することの意義を再認識していただければ幸いです。

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2015.2.8
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