楽天投信コラム

ちょっと待って!その投信乗り換え、本当に必要ですか?

この原稿は、日経平均株価がリーマンショック前高値を更新した直後に書いています。相場好調で皆さんご機嫌でしょうか。

株高や円安で収益が上がるような投資内容のものが大半を占める公募株式投資信託の残高は、2013年末65兆円だったものが2014年末には77兆円と、過去最高水準に成長して来ました。2014年の純流入額(買付により流入した金額と、解約や償還で流出した金額の差)は、6.9兆円にものぼります。

こうした投資信託全体の残高の成長は運用を業とする者として大変喜ばしいことなのですが、実は気になる数字があります。それは買付の金額も大きい一方で、解約の金額もとても大きいのです。

2014年の解約は実に31兆円。なんと2013年末残高の48%に相当します。つまり、大まかに言って、昨年1年間に投資信託の約半分が解約されているのです。

グラフ:投資信託全体の残高
データ出所: 投資信託協会
※他に流出額として償還を迎えた金額0.3兆円があるが、前年末残高比0.5%と小さいため、図中や本文中では省略
※また、分配金による流出額、運用の増減等も残高変化の要因だが、本稿では割愛し、別の機会に議論

もちろん、前年末比で残高が増えたのは、解約で流出した金額よりも大きい金額が買付により流入したからですが、売って出て行った人達と、新たに買って入ってきた人達が全く別とは考えづらいものがあります。つまり、相当部分の資金が売って買い直すといった回転売買によるものだと思われます。

各投資家が、自身のリスク管理や相場感に基づいて定期的にポートフォリオの見直し・入れ替えを行うのは大いにいいことです。しかし、それだけだとしたならば、保有する各資産の値上がり・値下がり分の調整や、資産の一部の入れ替えが妥当であり、投資信託保有者全体の解約金額の平均が前年末残高の約半分に相当するというのはあまりにも大きすぎる取引量です。

値上がりしたらまずは利益確定して気分を良くし、しばらくしたらまだ相場が好調なので、似たような内容の投資信託を買い直す、といったことをしていませんか?特に、販売手数料を支払って乗り換えている場合は、かなりの無駄ですし、それが心無い販売会社営業員による誘導でなされていたとしたならば言語道断です。また、短期的な上下に右往左往して売買を繰り返す場合、多くの方は高値で買い、安値で売ることになりがちです。

これを読んでいて思い当たる方は、ぜひご自身のポートフォリオを考え直し、長期に保有し続けられるものを中心に投資されることをお勧めする次第です。

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2015.3.8
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