楽天投信コラム

人気のブルベア型ファンドの利点と留意点

この原稿執筆時点では、引き続き日本株は好調で、実現すれば2000年4月以来約15年ぶりとなる日経平均株価2万円も視野に入ってきています。これが皆さんに配信されるころはどうなっているでしょうか。

さて、そんな好調な日本株市場も背景にあってか、日本株に連動するレバレッジ型のブルベアファンドが大人気です。例えば、楽天投信投資顧問が運用する「楽天日本株トリプル・ブル」は、1700本以上もの投資信託を取り扱う楽天証券の2月の買付金額ランキングで6位となっています。

このように多くのご支持をいただいていることもあって、最近、セミナー等の際に、「こうしたファンドは長期投資に向くか」「NISAに向くか」というご質問を少なからず頂戴します。実際、投資信託を販売する販売会社の方達と話すと、NISA口座でこの種のレバレッジ型ファンドに投資する方も多くいらっしゃるとのこと。

一方、「NISA口座等で数年間保有することを前提に、レバレッジ型ファンドに投資するのはとんでもないことだ」といったアドバイスをするファイナンシャルプランナーの方も多いようです。

まずはファイナンシャルプランナーの方が指摘する点から見てみましょう。以下は、日経平均株価が、時に激しく上下しながら、トレンドとしてはじり安となっていった2009年6月末からの3年間のグラフです。それに、日経平均株価の日々の騰落率の3倍の値動きをする指数、および日々の騰落率の逆方向に3倍の値動きをする指数をそれぞれ想定し、その指数の推移を加えています。つまり3倍レバレッジのブルファンドおよびベアファンドの想定リターンです。

グラフ:レバレッジ型投資留意点の実例 もみあいの中の持ち切り
2009/6/30-2012/6/29。始点の値は3本とも、2009/6/30の日経平均終値9,958.44円
データ出所: Bloombergから得たデータをもとに楽天投信投資顧問で作成
「3倍ブル」「3倍ベア」の指数の推移はシミュレーションであり、
実際にファンド投資する場合に負担する税金・諸費用等は考慮にいれていません

3年を通すと下落だったわけですから、ブルがマイナスなのは当然なのですが、ベアも大きくマイナスになっています。これが日々レバレッジ調整をするファンドの最大の留意点です。揉み合い相場が続くと、参照している資産(今回の場合は日経平均株価)が結果として横ばいに戻ったり、ある程度思惑通りの方向に動いたりしても、ファンドのパフォーマンスはマイナスになる傾向があります。

さて、では本当にレバレッジ型ファンドを保有し続けるのはとんでもないことなのでしょうか?

以下は、最初のものと同様のシミュレーションを、今年2月末までの同じく3年間で行ったものです。

グラフ:トレンド相場におけるレバレッジ型投資の動き
2009/6/30-2012/6/29。始点の値は3本とも、2009/6/30の日経平均終値9,958.44円
データ出所: Bloombergから得たデータをもとに楽天投信投資顧問で作成
「3倍ブル」「3倍ベア」の指数の推移はシミュレーションであり、
実際にファンド投資する場合に負担する税金・諸費用等は考慮にいれていません

日経平均株価は、2012年11月、当時の野田首相が、当時野党党首だった現在の安倍首相に対し、国会で解散に言及した時から大きく上昇し始めました。「アベノミクス相場」の実質的起点はそのときといってよいでしょう。それよりも前、2012年2月末から日々3倍レバレッジのブルファンドを持った場合、いったんは半分程度まで価格は下落するのですが、その後大きな上昇を経て、4倍以上に成長しています。

これが投資の難しいところです。ほとんど親の仇のように(笑)、レバレッジ型ファンドを保有し続けると絶対に損をするようなことを言う人もいるのですが、3年間保有して4倍以上になることがあるという事実がある以上、損失を断言するのは大間違いなわけです。

ということで、レバレッジ型ファンドをNISA口座等で数年間保有することを前提に投資することについてまとめると、

  • 対象資産が長期的に横ばいの場合や、ある程度の思惑通りの動きをする場合でも、損失となることがある。したがって、一般論としては、お勧めしづらい。レバレッジ率の高いものに関してはなおさら。
  • 一方、対象資産が中長期的に強いトレンドを持って大きく上昇する(もしくは下落する)という確固とした相場観を持って望む場合は、レバレッジ型のブルファンド(下落予想ならベアファンド)に投資することは、おかしなことではない。ただし、大きな損失となっても大丈夫な資金で投資すべき。

いずれにしても、私から特に初心者の方に強くお勧めするのは、やはりグローバル分散投資であることは、最後に付け加えさせていただきます。

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2015.4.12
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