楽天投信レター

シェール革命

当レポート対象月である2014年12月から、本稿を執筆している2015年初にかけての最もホットな市場関連の話題は原油安といえるでしょう。原油価格の大幅下落は、ロシアをはじめとする一部の産油国経済の運営を困難にさせているほか、その悪影響の世界経済全体への波及懸念を誘発し、各国株式はこの数週間、乱高下している状況です。

原油価格は、1990年代は長らく1バレル(約159リットル)当たり20ドルを挟む推移でしたが、2000年代に大幅上昇し、一時は140ドル以上にまでなりました。リーマンショックに伴い大幅下落しましたが、かつてのような値段にまでは下がらず、その後世界経済が紆余曲折ありながらも回復する中、再び大きく上昇する展開となっていました。

そこで話題となったのが「シェール革命」です。これまで掘削・抽出が困難だった油田、ガス田にも活用できる技術で、1990年代から注目されていたようですが、一般社会にもその名が知れ渡り、「革命」とまで呼ばれたのは、原油価格が高止まりする中、従来のエネルギー供給構造を抜本的に変えるポテンシャルを持っていたからでしょう。

採掘技術の進展に伴いシェールガスの生産が急ピッチで増加した一方で、原油需要が鈍化した結果供給過剰となり、直近においては、原油は大幅に下落することとなりました。これにより、シェール技術を活用する関連企業の財務悪化や、ロシア等の産油国経済に及ぶ悪影響への懸念が噴出したのです。

シェール関連銘柄が米国を中心に株式市場で持てはやされた2013年から2014年前半にかけては、「エネルギー」「シェール」といった単語をファンド名に含む投資信託の設定が相次ぎました。そして実際、「シェール革命」は原油価格を下げることに成功したように見えます。しかし目下のところ、シェール関連銘柄は原油価格が下がり過ぎたことによる業績悪化懸念で大きく売られるという、皮肉な状況になっているわけです。

これがテーマ型投資の難しさです。投資内容を絞った商品で、しかもその対象資産の価格が上昇している最中に投資を検討することは大変たやすく、またそれを勧める側にとっては売りやすい商品でもあります。しかしながら、そうした特化型の商品に投資する場合は、分散投資の一環としてポートフォリオの一部とすること、そして上昇時に漫然と追随するのではなく、どういう状況になったら利食いや損切りを行うか等の投資方針を明確にしながら保有するべきでしょう。

「リスクを取った見返りに長期的には収益が期待できる構造を持つものに分散投資する。」

この楽天みらいファンドの投資哲学は、値を飛ばしているものに飛び付くのに比べ退屈に見えるかもしれませんが、長期的にはそれを凌駕する収益をもたらすというのが私達の考えです。乱高下でもどかしい相場が続きますが、投資家の皆様におかれましては、じっくりと長期保有をお勧めする次第です。

Vol21
2014.12.30
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