楽天投信レター

中国をどう考えるか

当レポート対象月の7月は、前月末からのギリシャ問題に加え、中国株式市場の急落がグローバル市場を大きく揺さぶりました。

「市場の上下を予想して当て続けるのは不可能であるから、長期的に収益が得られる仕組みに投資してラクにじっくりともうけよう」、とは再三申し上げていることですが、中国株式市場ほど予想をすることが難しい市場はそうないのではないかと常々思わされています。

中国の本土株式(上海総合指数)は、中国の成長ペース鈍化が指摘される中、昨年半ば以降の1年間で150%もの急騰を遂げており、多くの市場関係者が「バブル」だと指摘していました。しかしながら、そもそも、中国の高成長に陰りが見え始めたという議論や不安定な資本市場への懸念は、最近のことではありません。例えば、一昨年頃盛んに取り沙汰されたのは、「理財商品」と呼ばれるリスクの高い高利回り商品で、その投資先企業の債務不履行等により、投資家に資金を返せなくなる事例も出始め、残高の大きい理財商品の満期が近くなる度に世界中の金融市場が緊張するような局面もありました。

しかしその後、昨年1年間を通してみると、なんと上海総合指数は、世界各国の代表的な株価指数103種類の中でトップの上昇率となったのです(円換算ベース69.7%、出所:Bloomberg)。そして今年に入ってからもつい最近まで騰勢は衰えませんでした。

最近の急落の後、中国政府のなりふり構わぬ株価下支え対策は、90年代の日本株式市場における「PKO」(Price Keeping Operationと市場参加者達が呼んだ、政府主導の様々な株価対策)をほうふつとさせ、中国株は90年代の日本株と同様の道筋をたどると指摘する人もいます。かたや、中国経済の成長速度は鈍化しているものの、諸外国に比べればまだまだ高成長であり、実は割高な価格ではなく、絶好の買い場であるとする意見もあります。つまり、専門家と称する人達も意見は分かれ、予想が当てになるとは言い難い状況です。

とはいえ、予想ではなく事実として言えることは、中国が13億人の人口を抱え、そしてその莫大な数の人々が、貪欲によりよい生活を求め日々経済活動を行っていることでしょう。

楽天みらいファンドのポートフォリオでは、約10%を新興国株式指数に連動を目指すETFに振り分け、そのETFの中では最大の約26%が中国に投資されています。つまり、楽天みらいファンド全体からすると約2.6%が中国に投資されています。中国に限らず、今月は新興国株式全般が不調でした。米国の利上げを控え、当面は軟調な局面が続く可能性も否定できませんが、中長期的な成長を期待し分散投資の一環として配分するレベルとしては、適切なものと考えています。

Vol28
2015.7.31
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