楽天投信レター

大混乱の金融市場で再認識できたこと

当レポート対象月の2016年2月は、先月に引き続き激動の、というよりは大混乱の月となりました。日経平均株価は、1月末に発表された日銀によるマイナス金利導入というサプライズ追加金融緩和を受け、いったんは持ち直したかに見えましたが、その後大幅な下げに転じ、2月12日には終値で15,000円を割り込みました。米ドル・円レートも、日本が祝日の11日に海外で1米ドル=111円を超えて円高が進む等、大荒れとなりました。

今回の大崩れでは、長期投資、短期トレーディング、どちらのスタイルの方にとってもあらためて実感できた教訓が多かったのではないでしょうか。

まず、相変わらずリスク性資産(特に日本株)の上昇・下落と円の下落・上昇の連動度が高いということです。日本経済の成熟や高齢化に伴い、円は長期的に下落していくという考え方もあり、その考え方に立つ場合、外貨建て資産をそのまま持つことは資産ヘッジにもなります。しかしながら今のところは、世界経済や日本経済に懸念が出ると円高になる状況が続いています。安定的な資産運用には、『楽天みらいファンド』のように為替ヘッジを内包したものをある程度組み込むことも有用であることがあらためて確認できた相場状況だったと感じています。

次に、相場予想に頼ることの困難さです。今回の大幅な下落を予想しメディア等を通じて声高に発信した専門家は皆無といっていいのではないでしょうか(「日本はとんでもないことになる」と常日頃から言い続けているような人は除きます)。そしていざ大幅な下げがあると、その途端に「リーマンショック以上の大変なことになる」といい始める人が続出するのです。そんな見識があるのなら、下げ始める前に言って欲しいものです。

また、株価下落の際の典型が見られたのが、2月10日の下げから祝日11日をはさみ、底値となった12日にかけての各種報道です。その間、通常は株価動向を話題にしないような非金融・一般メディアまでもがこぞって株価下落を取り上げ続けました。グローバルに荒れる中、日本だけが株式市場が閉まった状態で、多くの方が、メディアに株価下落を刷り込まれ続け、一刻も早く手元の株を投げ売らなければならない焦燥感に駆られたのです。そして案の上12日の市場はパニック的な売りとなり、結局それが今回の下げの大底となりました。「メディアが株価下落をいっせいに報じたら底値だ」という典型といえるでしょう。

大混乱の2月でしたが、実は海外市場は日本ほどの株価下落ではありませんでした。幅広く分散し、為替の多くの部分もヘッジしている当ファンドは、若干ではありますがプラスのリターンで2月を終えました。

当ファンドのリスク設計の強みを投資家の皆様に誇示したいところではありますが、このような環境であるからこそ、より謙虚な気持ちで引き続き運用にあたるべきと心得ています。また、とりあえずは底を打ったものの、再び下落に転じないかどうか、予断を許さない状況です。ただ、これもまた、予想に頼るのは難しいといえるでしょう。

皆様におかれましても、メディア等に惑わされることなく、泰然と長期投資を貫いていただき、また、積立投資で投資いただいている皆様におかれましては、こういうときこそ積立をやめないで続けられますよう、願っております。

Vol35
2016.02.29
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