楽天投信レター

市場の注目点を考えてみる

当レポート対象月である9月は、引き続きグローバルに資産価格が上下に激しくぶれるとともに、月を通しては日本や米国も含め各国の主要株価指数は大きくマイナスとなるところが多く、『楽天みらいファンド』の基準価額も引き続き下落する状況となりました。

この間の市場参加者達の注目ポイント(つまりは下落の理由)はなんだったでしょうか。日々経済・市場関連ニュースを見ている方ならば、ほとんどの方はこう答えるのではないでしょうか。

  • (1)中国景気減速懸念
  • (2)米国の利上げ見通し

さて、これら二大注目ポイントには、相場の方向性を予想して当てることの難しさ、ひいては長期投資を考えるにおいて重要な共通点があります。何だかお分かりでしょうか。それは、

  • (Ⅰ)どちらの国も経済が拡大基調にあること
  • (Ⅱ)どちらも最近急に取り沙汰されたものではないこと

です。

まず(Ⅰ)ですが、中国は景気後退ではなく、経済の拡大ペースが減速する、というだけのことなのです。もちろん、中国で発表される各種経済指標の信頼性の問題等もあり、すでに深刻な景気後退が始まっている、とする人もいるのですが、今の所一般に予想されている経済成長率7%程度というのは、これまでよりもスピードが鈍るというだけで、先進諸国に比べればはるかに高いものなのです。一方、米国の利上げは、「景気が良くなったから利上げのタイミングを見計らっている」、という、本来はとても健全なことです。

そして(Ⅱ)ですが、中国の景気減速懸念も、米国の利上げも、最近言われ始めたことではなく、どちらも1年以上に渡り市場参加者の間で活発に議論されていることです。もし中国の景気減速懸念や米国の利上げが株価を大きく下落させることが確実なのであれば、とっくの昔に大幅下落していても良いのに、最近まで非常に相場が強かったわけです。早い段階で安易に米国や中国の株価下落を見込んだ投資(株式やETFの空売り等)でもしていたら、大損していたはずです。

強い経済が相場を弱くする材料にもなり、そしてそうした材料がいつどのような形で相場を動かすかは分からない・・・。これが相場予想の困難さです。そして、それが「予想に頼らず、長期的に収益が期待できる構造にあると考えられるものに分散投資する」という、当ファンドの投資哲学の所以でもあります。

今回の株価の下落では、楽天みらいファンドも影響は免れませんでしたが、我々の投資哲学になんら変更はありません。しばらくはぶれの大きい展開も続くかもしれませんが、投資家の皆様におかれましては、冷静に構えて望むことをお勧めする次第です。

Vol30
2015.9.30
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